第一章:日本が崩壊の雛形
2023年から、共産党の中国の経済が、停滞していることが明確になりつつあります。これは、お隣の韓国も同じで、日本経済の土地本位制のようなものを真似た経済成長モデルは、永遠に続く地価の上昇など、あり得ない、と気付くレベルまで到達すると、高過ぎる不動産価格は、それ自身の収益性で想定される価値とのかい離を、補正するため下落に転じます。これが、日本の失われた30年というもののメカニズムです。つまり、経済は成長せず、インフレがデフレに転じます。中国と同様に、日本の不動産神話をベースに、アメリカで拡大したのが、サブプライムローンで、その行き着く先が2008年のリーマンショックでした。この時、アメリカの金融システムは時限爆弾を抱え込んだようなものだったのですが、大き過ぎで潰せないという単純な理由で、その他の金融機関は、モラルハザードを問われることもなく、国家によって救済されました。この世界的な経済危機を救ったのは、なんと中国の財政支出の急拡大であったとされています。この中国の借金による経済成長のメカニズムを支えたものこそ、国家が所有するとされる土地の利用権だけをマネーに変えるという、改革解放の共産党が、発明した信用創造の方法でした。一党独裁、中央集権の中国でなら、日本のような土地バブルの崩壊は、制御できると考えられたのです。これは、一応、正しく、今の中国で、不動産市場の崩壊が生じていないのは、国家によるコントロールの結果だということもできます。しかし、不動産というものは、買う側にとって、巨額のローンという債務を負うもので、その見かけ上の価格が上昇している間は、含み益というものが生じるため資産の増大に貢献しますが、それが反転し、価値が下落すると不良債権となって行きます。限界まで、上昇してしまった見かけ上の価値が、また、上昇する可能性がないとなると、その市場は、国家の管理下のもと、ゆっくり、死に到る道しかなくなるのです。不動産価格の上昇は、手っ取り早いGDPの拡大方法で、その手法を取った韓国などでも、同じ、調整期、沈滞期が、これから長期間続くことになります。全体の経済が成長している時の不動産需要というものは、インフラへの投資と同じく、国内の消費市場を増大させ、国民を豊かにする方向に導くものですが、輸出頼みの経済運営では、あるタイミングで、行き詰まります。日本のバブル崩壊とその後の失われた年月も、もとをただせば、この原理を知らない経済運営を戦後一貫して続けてきた政府の政策に、その責任はあります。なぜ、世界の政府の多くが、この道を進んでいるのかを知ると、その先にあるのは、巨大な崩壊だということが見えてきます。