―なぜ自分だったのだろう、と数え切れないほど考えた。 他の誰かであればよかったのに、と何度も恐ろしさに逃げ出したくなった。 けれどきっと、幾度でもこう思い直すのだ。それでも誰も自分からは逃げられない。この役目を例え誰かに譲れるとしても、私は嫌だと言うのだろう。 なぜなら、ここまで積み重ねてきた全てを投げ出すことになるからだ。これまでの全てが無為に終わることになるからだ。 それは自分の今までに対する裏切りだ。存在に対する叛逆だ。それだけはどうしたってできない。 人生に嘘をついた瞬間、私の生命は滅び始める。
Vol.1 : モノローグ
