第一章:日本が崩壊の雛形
イギリスのケインズに始まる、近代経済学というものは、経済というものを観察し、そこに一定の法則を見つけ出して、解説し、どうすればいいのかも含めて、経済活動を学の対象として、成功を収めました。ただし、最後は、神の手が働く、ということで、超自然的な何らかの力が作用するということを否定していません。
そんなことをいうと、ケインズらの経済学者が、神秘主義者のように聞こえるかもしれませんが、人間の経済活動は、人間が完全にコントロールすることは不可能ということを示しています。これと対極の立場を取るのが、マルクス経済学というもので、進歩した社会において人間の経済活動は、完全にコントロールすることが可能になり、不況も失業も、ない社会が計画経済によって達成されることになるとされていました。しかし、これらの経済学が世に出たタイミングというものは、あのロスチャイルドを中心とした人間グループが、ロンドンのシティを中心に、中央銀行制度と通貨発行権を手にした後なのです。右と左の経済学の背後に、それを利用した人間グループがいたらしいと考えることは、いまの世界経済を理解する上で、重要な発見をすることに繋がることになります。それは、資本主義いうものが、キリスト教文明圏でのみ生まれ、その出発点にあったのは、キリスト教精神の闇の部分というか、異教徒に対する支配や収奪を正当化する行為がもたらす収益を最大化する考え方だったというのが、精神文化史的な見方ではすることができるからです。この資本主義のユニークなところは、キリスト教を含む一神教の文化圏では、神が利息という概念を認めない、もしくは許さないと思われていたため、その分野は、ユダヤ教徒のユダヤ人にまかせることになったことで、その結果、ユダヤ人というものが国際金融資本家という人間グループの中心になることを許容したということです。つまり、はじめは、教会や王侯貴族の財産、マネーを投資することで、大きな収益を配分するシステムであったものが、あるタイミングでマネーというものをコントロールする役割に変わることになった結果が現在の世界の姿のもとだということです。そのあるタイミングというものが、ヨーロッパの国々が大好きな戦争が続き、ナポレオンというフランス革命で世に出ることになったコルシカ人が帝国をつくり、敗北する時だったと考えられます。この時に、ロンドンにいたロスチャイルド一族のひとりの、ネイサン・ロスチャイルドが情報戦に勝利して、莫大な利益を確定し、それが、いまある世界の基本構造をつくるものになったのも、戦争というキーワードで説明できるということに気が付くと、経済学の正体が見えてくるはずです。